「不動産×VR」のリアルな活用体験 -実際のところ、有効性は高いのか-

2022-08-102023-03-03

近年、VRは様々なシーンで目にすることがあります。
不動産業界においても「不動産×VR」は珍しいものでは無くなってきました。
実際にLive SearchがパノラマVRの撮影代行サービスを開始した2018年では、パノラマVR撮影の利用率がわずか2%だったものの、2022年には38%にまで利用率が上がっており、多くの管理会社様がパノラマVRコンテンツへの取り組みへと意識を向けていることが伺えます。
今回は、不動産業界におけるVRの活用について、実際にLive Searchをご利用中の企業様から頂いたお話も含めて解説します。
 

VRってそもそも?

 
VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略称です。
情報で作られた人工の「仮想現実」を指します。VRはあらゆるシーンで活用されています。一番身近に感じるものでいうと、みなさんご存知のGoogleストリートビューではないでしょうか?見たい箇所をピンポイントズームで見たり、クルクルと回して全方位を見回してみたりと擬似的空間を見ることができると思います。
 

360°パノラマ画像ってどんな画像?

 
ここでお話するVRコンテンツとは、上下左右全てが1枚の画像に収まっている「全天球画像」のことを指しています。専用のカメラを使用することで撮影が可能です。最近は、種類も増え、画像だけではなく動画の撮影が可能なカメラもあります。
全天球画像は、そのままの状態では一見すると分かりづらい画像なのですが、VRとして見せる専用のソフトウェアを使うことで擬似的空間が出来上がります。
 
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より質の高い情報戦へ

 
名前の通り「不動産」は”注文したら手元に届く”ようなものではないですよね。実際に見たいと思っても”見に行く”という方法しかないので”実際に足を運ぶ”ことがこれまで当たり前でした。
しかしながら、昨今の情勢によりリモートやオンラインがビジネスのみならず生活シーンでも多く取り入れられるようになりました。それにより、”足を運ぶ”前にオンラインで欲しい情報を取得できないかという考えを持つユーザーが増えています。これは、実際に足を運ぶことを全くしなくなると言うことではなく、事前情報をキャッチしておきたい、そのうえで少しでも無駄を省き、最終的に確認のために実際に見に行くという思考が増えたということです。
 
今はネットやSNSで情報を簡単に取得できる時代です。
以前は「ネット情報を見てもよく分からないから行って見てみよう」だったものが「このネット情報を見てもよく分からないから、他のネットで探してみよう」となり、写真の重要性が表面化されました。しかしそれはもう当たり前となり、今はさらにリッチでより内容の詰まった情報を届けられるものがたくさんの方の目に止まる仕組みになっています。
そのような意味で不動産業界のVRコンテンツとは、”ただ部屋の中が分かる”だけではなく、”部屋の中がわかるからエンドユーザーが選んでくれる”につながるコンテンツになっていると考えています。
 

不動産業界でのVR活用事例

 
主に不動産業界では”360°パノラマ画像”をPC、タブレット、スマートフォンのブラウザやアプリで閲覧する利用方法が一般的です。
最近では、不動産情報サイトや自社ホームページにVRを掲載する企業も増えています。
Live Searchでも360°パノラマ画像の撮影をご依頼をいただく会社様は全体の5割に至っています。
とはいえ、実際にVRでオンライン内覧を行い、現地を見ることなく成約まで至るというケースはまだまだ少数だと思います。
では、企業は一体どのようにVRコンテンツを活用しているのでしょう?
Live Searchをご利用中の企業様に伺った活用方法を2つご紹介いたします。
 

 Case 1.自社ホームページのリッチ化

〜ポータルサイトからホームページに流れる顧客心理に刺す〜

多くのエンドユーザーは不動産ポータルサイトを通してお部屋探しを行います。目ぼしい物件を見つけると、その掲載元の不動産会社へ問い合わせをしますが、その前にエンドユーザーはさらにその不動産会社のホームページを見に行きます。その上で自分に合っているかを吟味し、問い合わせするかしないかを判断するのです。
なので最近はエンドユーザーをより意識した内容のホームページにしています。大事なのは「この会社なら良い物件を紹介してくれそう」と思ってもらうことです。物件情報や写真を含めた情報の豊富さはもちろんですが、それ以上の内容にすることで他社との差別化を図っています。その一つとしてVRの掲載は効果を発揮します。ホームページ内でも目立つ位置に表示するようにし、エンドユーザーにページに留まってもらえるようにしています。
 

 Case 2.管理業務面での活用

〜社内に向けた情報共有のツールとして〜

自社管理物件について、担当スタッフが把握していることは当たり前ですが、全スタッフが現地を定期的に見に行き把握することは正直なところ難しいです。特に内勤スタッフはなかなか外出できる機会は少なく、どうしても現地の状態に関する詳細な把握までは共有が及びません。しかし問い合わせを真っ先に受けるのはこの内勤スタッフです。これまでは担当者に確認し折り返すというケースが多く発生していましたが、写真+VRがあることで室内状況が分かりやすくなり問い合わせへの即時レスポンスの比率が向上しました。
 
 
いかがでしょうか?いずれも異なる視点で活用をすすめていることがわかります。
このことからも、単純に”部屋の中が分かるから集客に繋げる”だけではなく、業務面なども含めた+αの価値を見出していただいています。
そして、VRコンテンツを充実させているか/させていないかで、家探しをするエンドユーザーの心を掴めるかが大きく変わり、不動産会社同士の情報戦にも繋がります。
これまで「興味がない」「ウチにはまだ必要ない」と思っている方も、この記事を読んで少しでもVRに興味を持っていただければ幸いです。
360°VRカメラは常に進化しています。スマートフォンのように常に最新のものが発売されており、決して安価なものでもありません。導入をご検討の際には、自社撮影とアウトソーシングのどちらが良いのか、という点においても是非着目してみてください。